紙と手書きの棚卸しから、
オンライン共有によるスマートな確認フローへ

Excelの備品台帳と「紙の配布・回収」による毎年の棚卸し。GASとスプレッドシートを組み合わせ、確認と集計の負担を最小化する実証実験の取り組みをご紹介します。

多くの学校で、年に1〜2回実施される「備品の棚卸し(現物確認)」。 国語教材、理科の実験器具、技術の工具など、学校内には数千点を超える備品が存在します。

この棚卸し作業、毎回「大量の備品リストを印刷し、教科の担当職員に配布して目視で確認し、チェックされた紙を手動で集計する」という運用になっていませんか? 今回は、今あるエクセル台帳を活用しながら、GoogleスプレッドシートとGAS(Google Apps Script)を組み合わせて、棚卸しの現場コストを大幅に削減することを目指した、実証実験の取り組みをご紹介します。

※本取り組みは現在、学校現場のご協力のもと、実際の運用に即したプロトタイプ検証および実証実験を進めている段階のプロジェクトです。

備品棚卸しにおける「Before / After」

Before (従来の紙と目視による棚卸し)

  • 備品一覧を担当教科ごとに印刷して教員に紙で配布
  • 大量の紙の一覧表の中から該当する備品を目視で探す
  • チェックが終わった大量の紙を見ながら、未点検のものを手作業で突合・集計

After (オンライン同時チェック)

  • スプレッドシートで一括共有(各自のPCやタブレットから同時編集)
  • キーワード検索で、目の前にある備品を瞬時に特定
  • GASのボタンを1クリックするだけで、未確認の備品リストを自動生成

実践した仕組みとステップ

Step 1: 元のエクセルデータをインポートする

多くの学校では、下図のように教育委員会や学校独自のフォーマットで備品が一覧化されたエクセル台帳が存在します。これをそのままGoogleスプレッドシートへ貼り付けることからスタートします。

元の備品台帳データ【Step 1】インポートした元の備品台帳データ(全教科混在) ※画像内のデータはすべてデモ用のダミーです

Step 2: GASによる教科別の自動シート分割

全教科が混ざった台帳のままでは、担当教員が自分の関係する備品を探すのが大変です。 そこで、GASのプログラムを用いて「教科区分」の列を判別し、教科ごとの専用チェックシートをボタン一つで自動生成します。

Step 3: 各教員がタブレットやPCで同時並行チェック

教員は共有されたスプレッドシートを開き、それぞれの担当教科のシートを表示します。 タブレットやスマートフォンを片手に、準備室や教室へ移動し、現物の備品No.と照合します。 確認できたら、スプレッドシートのチェックボックスをオンにするだけです。チェックが入ると、その行は自動でグレーアウト(取り消し線)され、進捗率がリアルタイムでカウントされます。

教員用チェックシート【Step 3】教員用チェックシート。検索機能や「色付け機能」で探しやすい工夫も搭載 ※画像内のデータはすべてデモ用のダミーです

一覧表から目視で探す手間を解消するため、シートの上部に簡易的な「検索窓」を設置しました。 そこに型番や品名の一部を入力すると、該当する備品行がハイライトされ、目の前の備品をすぐにチェックできます。

Step 4: GASによる未確認備品の自動抽出

すべての点検期間が終わったら、管理者(事務担当者など)はGASを実行し、「未確認」または「破損・紛失等(要確認)」とメモされた行だけを別シートに自動で集計させます。 誰がどの備品を点検していないか、あるいは修理が必要な備品がどこにあるのかが、瞬時にリストアップされます。

棚卸し結果レポート【Step 4】未確認・要確認備品一覧(棚卸し結果レポート) ※画像内のデータはすべてデモ用のダミーです

Step 5: エクセルデータに結果を反映

スプレッドシートで集計された未確認情報や破損などのメモを、元のエクセルデータに戻して台帳を更新します。 これにより、紙のチェック表を見比べながら転記する作業から解放され、数分で台帳更新が完了するフローを目指しています。

実証実験で検証しているポイントと期待される効果

1. 「集計待ち」と「転記エラー」の解消

全員の紙が回収されるまで全体の進捗が把握できず、手書き文字をエクセルに再入力する際のミスが発生しやすいという課題に対し、スプレッドシート上でのオンライン共同入力により、リアルタイムで進捗状況を把握し、転記作業そのものを不要にする効果を検証しています。

2. 教員の「探す・記入する」時間の削減

簡易検索機能によって大量のデータから特定の備品を目視で探す手間を省き、現場での現物確認にかかる時間が大幅に短縮されるかを検証しています。

3. 既存の環境で無理なく始められる運用設計

高額な専用システムの導入ではなく、学校で既に利用している「Googleアカウント(Google Workspace for Education)」と「スプレッドシート」の範囲内で構築することで、新たな操作研修やアカウント管理の手間をかけずにスムーズに検証を開始できることを確認しています。

“今あるもの” を活かして、現場の負担を軽くする。

備品チェックのように「必要だけど少し面倒な定例業務」こそ、ちょっとした仕組み(GASや共有シート)の導入で負担が大きく軽減される可能性があります。

「うちの学校の備品台帳も同じように実証・効率化できる?」「Googleのツールを使って業務をもっと楽にしたい」といったご相談がございましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。現場の運用方法に合わせ、二人三脚で最適なスマート棚卸しの仕組みを模索します。

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